紙の月映画を解説ラストシーンのりんごの意味は?(ネタバレあり)

2019年11月21日

この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です。

紙の月解説ラストシーンのりんごの意味

今日はこちら!

出典:goo.gl/RFoWdM

映画紙の月です。

この作品は角田光代の小説が原作になっています。

 

この映画、大絶賛する人と、

ダメだったという人がいて、

(褒めている人の方が多いのですが)

 

多少評価が分かれているのかな?

 

という作品なのです。

 

特に原作とラストが違う為に、

全くダメだったと拒否反応を示す人までいます。

 

しかし、その一方で、

これは名作だと評価する人達がいるんです。

 

なぜなんでしょう。

 

という事で今日はこの映画のラストシーンの解釈と、

何故絶賛する人がいるのか?

という絶賛ポイントを紹介します。

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映画紙の月を解説

映画紙の月は、公開が2014年の10月、

監督は「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八、

脚本 早船歌江子です。

あらすじ

稼ぎのいい旦那と結婚した主婦、梅澤梨花(宮沢りえ)は、

子供はいない。

 

夫(田辺誠一)と二人暮らし、

 

しかし余り幸せでなかった。

 

何不自由ない生活だが、

何をするにも、夫の許可がいる。

 

そんな梨花は銀行でパートを始める。

 

しばらくして、自分の稼ぎから、

お揃いのペアウォッチをプレゼントするが、

余り喜んでくれない。

 

逆に夫から、

更に高い時計をプレゼントされる。

 

夫との関係のストレスからか、どうなのか、

梨花は客先で知り合った大学生平林光太 (池松壮亮)と、

肉体関係を結んだり、

 

一時的に客から集金したお金で買い物したりしていた。

 

ある日、会社の同僚相川恵子(大島優子)と話をしている時に、

恵子が言った言葉で、梨花のスイッチが入ってしまう。

 

「やりたい事は、やりたいじゃないですか」

 

梨花はやりたい事をやり始める。

紙の月予告

 

ラストシーンの意味は?

映画のクライマックスは、

宮沢りえが窓ガラスをぶち破って、逃げる。

 

走って逃げる。

 

ここがこの映画のMAXです。

 

映画「桐島、部活やめるってよ」で言うところの屋上のシーンです。

 

一番監督が撮りたかったシーンです。

 

元々監督は、原作を読んだ時、

ラストのタイで国境の警察に、

主人公が「私を捕まえて」と自首するみたいな終わり方だったが、

もっと逃げた、その先を描きたかった。

 

捕まろうとしたのに、
タイの国境を越えて、更に逃げる。

 

ジャングルの中を逃げる、

それを警察がヘリで追う(笑)

 

というアクション映画にしたいという希望があった。

 

さすがに、原作から、かけ離れ過ぎているという事で、

最終的にクライマックスは、

宮沢りえが走っている所という事になった様です。

 

窓をぶち破って逃げたその後、

舞台はタイに、特に何故タイに行くのか?

 

どの様な事があって、

タイに行くのかという描写は一切ない。

 

で、ラストシーン。

 

屋台で果物を売っている男性、

屋台からりんごが転がって、コロコロ何個か転がっていく。

 

その男性の娘と思われる女の子がりんごを拾っている。

 

そこに現れる1人の女性、主人公(宮沢りえだ)。

 

そのりんごを持って屋台の主の男性の元に行く宮沢りえ。

 

その男性は、子供の頃、

寄付で自分がお金を送っていた少年だった(顔の傷が同じ)

 

男性はタイの言葉で何を言っているか分からないけど、

 

「返さなくていいよ。食べてもいいよ」

 

笑顔で言っている様に見える。

 

りんごを頬張る宮沢りえ。

 

男性がふと向こうを見ると、

タイの警察官2人が歩いてくる。

 

宮沢りえに視線を向けると、

もう姿を消して、そこにはいなかった。

 

end

という終わり方です。

 

このラストシーンはどういう意味なのか?

あのりんごのを食べるシーンは、どう解釈すればいいのか?

 

と疑問に思っている人もいると思います。

 

基本映画のラストシーンは、

敢えて説明せずに、謎を残すシーンになる事が多く、

特にこうですと決まってはいない。

 

なので、見た人に委ねるという事で、

 

正解はないので、好きに解釈してというのが、

答えなんですが、

 

やはり、最後にりんごをくれたのが、

かつて、自分が善意の寄付を行っていた、

恵まれない子供だったという事が引っかかる。

 

これ、梨花が会いに行ったの?とか、

 

あの男性は、梨花の事は知らないよね?とか、

 

あのりんごを食べるのは、どういう意味があるの?

 

などなど、気になる人もいると思います。

 

しかし、作品ではそんな事は、一切説明していません。

 

このりんごを渡した男性が、

あの少年だと梨花が気付いているのか、

 

気付いていないのか?も分かりません。

 

そこは、余り重要じゃないかもしれません。

 

しかし、

彼がくれたりんごは、まさしく純粋な善意、

お金でも、物でもない。

 

ただのりんごだが、

純粋な気持ちです。

 

一方、作品の中で、梨花は大学生の男や、

恵まれない人に、施しを与える事に快感を覚えていた。

 

それは、単なる自分の欲求を満たす為の行為であり、

本当の善意ではない(第一に他人のお金だしね)

 

という対比の為に、この男性が出てきたと思います。

 

それを見ている人に、

提示する事が目的だったのではないでしょうか?

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キャスト

宮沢りえ

主人公梅澤梨花役 、横領事件を起こす人妻

平祐奈

中学時代の梅澤梨花 、父親の財布からお金を抜いて、寄付を送る。

大島優子

相川恵子、若い同僚、自由な性格、社内で不倫している。

小林聡美

隅より子 銀行で一番仕事ができる人、梨花の不正をあばく。

池松壮亮

平林光太、梨花の顧客の孫、ダメ大学生、梨花と肉体関係を持つ。

田辺誠一

梅澤正文 梨花の旦那さん。

近藤芳正

井上佑司 銀行の上司

 

軒並み高評価だが、中には低評価も

この映画は評価はいいですね。

 

しかし、否定的な意見もありますね。

 

否定的な意見を見てみましょう。

 

■大学生の男との恋愛関係が唐突すぎる、ヤルのが早過ぎ!

■NHK版の方が良かった、心理描写がない、NHK版はしっかり描いていた。

■宮沢りえが何であんな大学生に惹かれたのか分からない、

あんなクズに入れ込む理由が分からない。

■バブル崩壊した時の話だと思うが、その辺りが描けていない。

■宮沢りえが大学生に溺れるのに、説得力がない。

■主人公に全く共感できない。

 

と、この様な内容です。

 

確かに、この原作の話って、光太が自分の事を女扱いしてくれた事から、

嬉しくて、デパートで高い化粧品を買って、

お客さんのお金を抜く事が、最初で、

光太とセックスするのは、出会って、3ヶ月後経ってからのはず、

そんな経緯がズバッと抜けてるんだよね。

 

しかし、絶賛している人の意見はちょっと違います。

 

それでは、絶賛している人の意見を紹介しましょう。

 

■原作、NHK版とは、別物と思って見た方がいい。

■そもそも、勘違いしている人が多いのが、

梨花が横領したのは、

大学生の男に溺れたからだと思っている人がいるが全く違う。

大学生の男に溺れてもいないし、

あの大学生に惚れてもいない。

 

ただ、弱者に施しを与えたかっただけ。

 

梨花はお金を与えて快感を得ていただけです。

 

横領を始め、エスカレートしていくのは、

大島優子の悪魔のささやきが引き金になっている。

 

■この人は平凡な、どこにでもいる主婦ではありません。

最初から壊れている人、お金を使い尽くす事が快楽な人、

なので、共感できないのは、当然だし、ハッピーエンドはありえない。

 

■この映画は、説明的な描写や会話は一切省いている。

しかし、丁寧な描写の積み重ねが、

しっかりと説明している。

 

例えば、大学生光太との恋愛が描けていない、

いきなりホテルに行くのは、唐突すぎるという意見があるが、

一度目の再会で、駅で会った時、

梨花は光太が追いかけて来ていた事は気づいている。

 

梨花が乗った同じ電車に駅から出たのに、

わざわざ乗ってきた。

 

光太はじっと梨花を見つめる。

 

梨花は何度もチラ見して、

光太が電車の中で自分のことを見ている事も知っていた。

 

要するに、自分に気がある事を悟っていたという事、

そして、駅で反対のホームでの再会、

電車が入ってきて、必死で梨花を見失わない様に探す光太、

そして、光太がいるホームの階段を降りてくる梨花、

もうすでに、一線を越える事を決意していたのです。

 

そこを感じ取れない人は、

何でいきなりホテルなの?となってしまう。

感想

という事で、この映画見ましたが、

私は面白かったです。

傑作と呼んでもいいんじゃないでしょうか?

 

宮沢りえの演技が素晴らしかったのは、もちろんですが、

あの大島優子と、小林聡美のキャラクターのチョイスなんか、

絶妙といった感じでした。

 

原作をかなりアレンジしています。

原作になかった横領に手を染めていく部分をきっちりと撮りたいという事で、

しっかり取材されてリアルに作られていますね。

 

昔の銀行を知っている人から見ても、

かなりリアルに描けているのでは?

と思います。

 

見て損はない映画だと思いました。

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