クリーピー偽りの隣人を解説、何故絶賛の意見が?それを踏まえて2回見た
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出典:goo.gl/mdqMmJ
「クリーピー 偽りの隣人」
公開 2016年6月
監督 黒沢清
原作 前川裕
キャスト
西島秀俊
竹内結子
香川照之
東出昌大
川口春奈
西島秀俊が元刑事の大学教授、香川照之が西島の隣に住んでいる不気味な男を演じる。
サイコホラーです。
この映画、演技派として大人気の香川照之と人気者西島秀俊、そして西島の妻を演じる竹内結子と人気キャストが出ているにも関わらず、レビューを見ると結構低評価が多いんです。
低評価のレビューをピックアップすると
■今年見た映画で最低です。
■脚本が酷い。
■出て来る警察が無能すぎる。
■説明不足、なんでこうなったかという説明がないから分からない。
■登場人物の行動がおかしい、特に竹内結子。
このキャスト、そして話はサイコホラーと来たら、絶対面白くなりそうじゃないですか、
しかし、レビューの評価は5段階評価で平均2.5って所でしょうか。
で、実際に見てみたんですけど、途中であれ?・・・いやいやいや!
それはないでしょ?・・???
それおかしいでしょ!
みたいなイライラ感が半端じゃない感覚を受けました。
成る程、評価が低いはずだ。
しかし、一部の映画マニアの人達はこの映画大絶賛しています。
これぞ映画!ちょと初心者にはこの映画分かりにくいかもね。
細かい部分を気にしてたら、そうなりますよ。
これぞ黒沢清映画です!・・・
・・・なんで?
と不思議だったので、この映画のここが素晴らしいという意見を集めて、
それを踏まえた上でもう一度見てみる事にしました。
何か新たな発見があるか?
映画の印象が変わるのか?などを確かめてみました。
解説クリーピー 偽りの隣人の素晴らしい所
まず、この映画のあらすじを紹介します。
高倉幸一(西島秀俊)は元刑事の大学教授、刑事時代は捜査一課に席を置き、
凶悪犯罪などを担当していたが、取り調べていたサイコパスの殺人犯が脱走、
確保に向かったが人質を取った犯人の凶器で高倉は深い傷を負い、
人質も殺されてしまった。
そんな事件が原因で警察を辞めたという過去があった。
現在は東絡大学(とうらくだいがく)で犯罪心理学を教えていた。
高倉には康子(竹内結子)という妻がいて、新居に引っ越しをしたばかりだった。
高倉と康子そしてペットの犬一匹が同じ家に住んでいた。
ある日高倉が言った「大学の教授の仕事が面白くなってきて、自分に向いているかも」という言葉を聞いて過去にあんな事件を体験している事を知っている康子もちょっと安心している様だった。
どこにでもありそうな仲の良い夫婦といった感じです。
そんな高倉の元に刑事時代の後輩野上(東出昌大)がやってくる、
野上は6年前に起こり未解決事件となっている日野市一家三人行方不明事件の唯一残された家族、本多早紀(川口春奈)に会ってみないかと話を持って来る。
この事件は4人家族のうち3人(父親、母親、長男)が長女を残して、
ある日突然姿を消したという事件。残された長女早紀の証言は何度も変わり、
証言能力なしとされ、未だに何の手がかりもなく未解決となっていた。
事件への興味から高倉はこの件に関わっていくが、高倉の家では妻の康子が、
引っ越しの挨拶で隣の家西野家を訪れていた。
出てきた隣人の西野(香川照之)はどこか不気味な男だった。
やがてこの西野を中心に様々な事件が起こっていく。
まず、予備知識なしに1回見てみる
良かった所
香川照之の演技は凄い、独特の存在感を役柄に吹き込んでいる。
川口春奈が可愛かった。
刑事役の笹野高史が香川照之の家の穴に落ちる時の落ち方が良かった。(笑えた)
とこんな感じです。
悪かった所はというと、
イライラ感が半端じゃない!
■竹内結子が隣人西野の家に挨拶に行ったが、西野は家から出てこない。
留守かという事で、竹内結子は持ってきたチョコレートの入った袋を西野の家の門にかけて帰ろうとする。
>引っ越しの挨拶に行って、留守だから門に持って行った物をかけて帰るか普通?
持って帰るだろう。
■前日、香川照之と軽いトラブルがあった西島秀俊、あの人は酷い人だと竹内結子に夕食の時に言う。そんな話しを聞かされているのに、翌日竹内結子が残り物のシチューを、おすそ分けで香川照之の家に持って行く。
>旦那にトラブルがあって、近所付き合いはしなくていいと言われてるのに、何故おすそ分けを持って行くのか理解できない。竹内結子のこの行動にムカつく。
■東出昌大の潜入により未解決の失踪事件の起こった隣の家から失踪した家族の遺体とそこに住んでいた人の遺体が出て発見された。
>そもそもなんで隣の家を6年前に調べていないのか?警察は無能なのか。
■竹内結子が注射を打たれて、香川照之にマインドコントロールされる。
>マインドコントロールできる注射なんてあるのか?無いでしょ。あの薬なんやねん!
■東出昌大が殺された時、パソコンデータだけでも調べてくれと西島秀俊は刑事に訴えたが、
全く調べようとしない、その後東出に借金があったというだけで、自暴自棄になって西島秀俊の隣の家に押し入って火をつけて自殺したという見立てを警察がする。
>借金があったとしても、自分の所の刑事が人の家に勝手に入って火をつけて死ぬとか余りにも不自然、西野が怪しいと言っている西島の言う事に耳を貸さないのも不自然。
私の一番最初に見た感想はこんな感じでした。
納得の低評価だったのですが、絶賛している人の意見をちょっと紹介すると、
どうも見ている所が違うみたいです。
絶賛している人の見方
香川照之の演じるキャラクターが最高
あの噛み合わない会話が最高、とにかく香川照之の演じる西野が最高です。
この映画は細かい部分ではなく、この香川照之の作り出すキャラクターを楽しむのが正解。
香川「犬飼ってます?」
竹内「はい、ちゃんと躾(しつけ)してますから」(大丈夫ですよ)
香川「えっ!犬に躾するんですか?」
竹内「・・・ええ・・」
香川「いいと思いますよそういうの」
みたいな、変な返しの会話が最高。
確かに香川照之の演技は良かったです。これは納得ですね。
物語中盤からの展開
東出昌大が死んだ辺りから、物語は一気に違う顔を見せる、最初に見ていた、
割と平和な雰囲気に流れる、何となく感じる違和感、それが話しが進んで行くと、
一気に加速し飛躍する、観客を全く違う所へと連れて行き、
見ている物をパニックにおとしいれる。
これぞ映画の真骨頂だ。
実は色んなシーンに突然別世界に連れて行く様な演出が施されている。
何気ないシーンから緊張や不安という感情を抱かずにはいられない。
西野邸の鉄の扉の向こうの部屋が最高
あの西野邸の扉の向こう側の美術が最高です。
あのサイコサスペンスにいかにも出てきそうな犯人の住居ですが、
今まで見た事もないあの部屋、不気味に回転するプロペラの影。
また、そこで行われる死体の処理方法も今までにない方法だ。
実は一番サイコパスなのは西島
実はこの映画に出てくる登場人物の中で一番サイコパスなのは西島では?
大学の部屋で川口春奈の話しを聞いた時に、事件なのに「それは面白いですね」と発言したり、もう事件の事は話したくないと言っている川口春奈に対してしつこく写真を見せて必死に迫る。
それに対して川口春奈は「それでもあなたは人間ですか」と西島の異常性に呆れる。
そして何より、香川照之の薬によるマインドコントロール攻撃が西島だけには効かない。
香川照之と同類の人間だからなのかも?
夫婦関係はすでに壊れていた
物語が進んでいくと、竹内結子がだんだん壊れていく、
最初は仲が良く見えていた夫婦だったが、竹内結子が徐々に変わってくる。
香川照之の薬によってマインドコントロールされて、
夫婦仲が壊されたのか?そうではなく、実は最初から夫婦の間は壊れていたのだ。
最初から何かおかしな雰囲気の夫婦に感じた違和感はこれかも?
マインドコントロールされれば逃げる事はできない
この物語は実際に起こった事件北九州監禁殺人事件をヒントにしていると思われます。
この事件は2002年に発覚した事件で、主犯格の男はある家族を監禁状態にし自分では手は出さず、拷問と虐待でマインドコントロールを行い、
家族の中で対立が起こる様に仕向け、
殺人、死体の処理を行わせた。
その時監禁された人達は逃げようと思えば逃げる事ができた、
しかし被害者達は逃げなかった。マインドコントロールされたら、そうなるのです。
逃げようという発想が起らない。
この映画に出てきた香川照之の娘にされていた女の子が普通に学校に通っていたのは決しておかしな事ではないのです。
リアルな場所ではない所に連れて行ってくれるのが、黒沢清作品
黒沢清監督は映画で描きたいのは、リアリティーではないとインタビューで答えています。
そのリアリティーを超えた場所、思いもよらない場所に観客を連れていきたいと、
今まで見た事の無い世界に観客を連れて行くのが目的だそうです。
なので、この映画を見て感じた、イライラ部分は余り気にせず、
いかに感情を揺さぶられるかを基準にもう一度この映画を見直してみました。
すると、1回目とは違う感じで作品を楽しむ事が出来ました。
まだ見ていない人は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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